どうもこんにちは、根岸です。
さて、今回は11話目でございます。
11.「リール駆動ベルト」と「巻き戻しハンドル」
ウレタンベルト
リールを回すのに使用するベルトは直径2ミリのポリウレタン製丸ベルトです。
ウレタンベルトは多少の弾力はありますが普通の輪ゴムほど伸び縮みはしません。表面は滑らかでコシがあり、摩擦に強いのが特長です。
このベルトは長いヒモ状で売られていて、適当な長さに切ったものの両端を熱で溶かしてくっつけると輪ができるので、自由なサイズのベルトを手元で作ることができます。
ウレタンベルトのメーカーは推奨していませんが、溶着するには一般にはライターであぶるのが手軽です。ただしこれもなかなかコツが必要ですから初めてやって1回で成功させるのは難しいかもしれません。ウレタンベルトの溶着に関してはYouTubeでも触れたことがあるのでそちらを参考にしてください。
巻取り側リールは、フィルムを送り出すキャプスタンの回転方向に対して逆回転に回転させたいので、ベルトをひねって8の字にしてプーリーにかけます。ベルトはこの状態でちょうど良い大きさの輪になるように作りました。
(巻取り側リールと駆動ベルト)
あまりきつくすると軸が傾いて回転しにくいのでモーターに負担がかかり、リールベースの軸受けもダメージを受けます。逆にあまりに緩すぎると滑ってリールが回転しなくなりますが、ここはもともとスリップしてよい仕様なので、気持ちゆるめでいいと思います。
フィルムの巻き戻し用のベルトはこのベルトとは別に用意しても構わないのですが、スキャンと巻き戻しを同時にすることはありませんし、巻き戻しのときは巻取り側のリールが自由に回る必要があるので結局ベルトは外さなくてはならないので、巻き戻すときには同じベルトを「巻き戻しハンドル」のプーリーの方にかけなおすようにしています。
巻き戻しハンドル
巻き戻しは手回し式です。手回しハンドルは「クランク」と「ノブ」で構成されていて、以前8ミリフィルム用の手動式ワインダーを作ってみたときのものです。
ハンドルを回す回数がなるべく少なくなるようにリール側よりもハンドル側のプーリーを大きくしてあり、細かな点ですが手でつまむノブもあるので回しやすく、リールを直接手で回すのに比べると格段に楽で3インチリールだとあっと言う間に巻き戻すことができます。
クランクに直接はめ込んで一体化する40ミリのプーリーは今回新たに作りました。
(巻き戻しハンドルと、巻き戻し用に掛けなおしたベルト)
(ハンドルの軸受部分)
ハンドルを支える軸受けのフランジも、手動式ワインダー用に作ったものを利用しました。リールとクランクの間にベルトをかけるとき真っすぐになるように、プーリーの位置に合わせてフランジの首の長さが決めてあります。
フランジは2個あって、MDFの両面から挟むようにM3の皿ネジとナットで取り付けています。
軸は例によって3ミリのステンレスシャフトです。シャフトのクランクがついていない方の端はペンチで少し傷をつけて変形させてあるので、無理に引っ張らないかぎり勝手に抜けてくることはありません。
スキャン時の巻取りリールとベルトを共用しているので、先に巻取りリール用にちょうど良いサイズのベルトを作ってから、そのベルトでちょうど良い位置に巻き戻しハンドル用の軸受けフランジを取り付けました。
(と簡単そうに言いましたが、最初にひとつだけ穴をあけてフランジを取付けてベルトの張り具合を見たところベルトがゆるゆるだったので、仕方なく45度回転した位置にずらして取り付けました。)
今回製作したクランクとフランジの3Dプリンター用データを公開しています。下記のリンクからダウンロードできますのでぜひご利用ください。
https://firestorage.jp/download/a6908b1573ddac07fc9aab47beeeea8eb4764600