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  3. 35ミリテレシネ装置の開発概要

開発中の35ミリテレシネ装置の概要

1.コンセプト

コストパフォーマンス

新規開発にかかる費用や時間、装置自体のコストは、目的とするテレシネ変換サービスのコストパフォーマンスに影響を与えます。 当社では大手業者のような高額なサービスではなく現実に手の届くコストで高い品質のサービスを提供することを目指しているので、既存の装置で利用できるものは進んで取り入れる方針で開発をしています。 今回のテレシネ装置のベースにはフィルムハンドリングの確実性とフィルムに対する安全性、業務用として十分な精度、強度を確保するためChristie社の近代的な設計の35ミリ映写機のミシン部*1を流用しています。

フレキシブル

ビデオ信号を記録する実用的な方法がVTRしか存在しなかった時代には、テレシネ時も通常再生するときと同じ速度で録画する必要があったため、フレームレート変換*2をリアルタイムに行わなければならないという制約がありました。 現在は目的とするビデオがデジタル化しており、大容量の記憶装置も身近なので取り込んだ画像は容易に蓄積、変換、記録が可能です。 つまり撮影時のフレームレートは自由であり、ことさら再生時の速度に拘る必要はありません。 この技術的な進歩のおかげでテレシネ装置の撮像部分もデジタルスチルカメラから産業用CCDカメラまで、現在選択可能なカメラは多岐に渡ることになります。 また従来のテレシネ装置ではビデオカメラシステム側にも制約が多くあり、高分解能を得るにはフライングスポット*3やレーザーで走査してメモリーに蓄えるなど大掛かりな仕掛けが必要でした。 撮像素子の高性能化・大面積化も近年大きく進んだため、極限的な性能を求めなければシンプルで安価な機器でも高分解能の画像が得られるようになっています。

開発中のテレシネ装置では、必要とされる分解能や画質、出力形態にあわせて撮像部分を柔軟に選択可能にするため、取付方法にもできる限りの自由度を確保しています。 同時にテレシネ時のフレームレートも広い範囲で可変できる設計としています。 発展性 自社で開発するメリットのひとつは、常に新しい技術の導入に挑戦できることでしょう。 最近では社内の強力なデータ処理能力を生かし、1枚の画像からソフトウェア処理のみで合成を行う疑似HDR*4処理をコストパフォーマンスの高いオプションサービスとして他社に先駆けて提供開始しています。詳しくはこちら 今回の35ミリテレシネ機ではLED駆動部の設計から、カメラ、フィルムトランスポート、リールを制御するファームウェアまで自社で開発しています。 より高性能が求められる35ミリテレシネにおいては、撮影シーケンスの細かな制御によってプロの要望に応えられる真のHDR合成*5のための生データを得ることも可能になります。 2.実験機の構成 通常、映写機は上から下へ向かって垂直にフィルムが走行します。 実験機は主に低速での試験運転を目標としており、装置の改造や調整の作業性、安全性等を考慮して、映写機を水平置きの状態で使用することにしました。 また現段階で音声の再生は後の課題として除外しているので、アナログ、デジタルとも音声ヘッドは取り外してあります。 映写機本体の駆動用モーターはオリジナルでは単相交流115V 60Hz 1/8hpのACモーターです。 電源同期なので毎秒24コマでしか映写できない構造ですが、これを速度制御可能なDCブラシレスモーターに置き換え、換装に必要となるモーターマウント、プーリー等は新たに製作しました。 DCブラシレスモーターは超低速回転でも大きなトルクを発生できるため、実験機では秒1コマ程度の超低速から秒30コマ以上の速度までの可変速でミシンを駆動できます。

テレシネ機は大スクリーンに映写する必要が無いため、光源はLEDを使用したコンパクトなものになっています。 これには当社で使用しているRGBWタイプ*6のLEDと専用設計の定電流駆動ドライバーを使用しています。 LEDからの光はいったん集光された後で必要な面積を照らすため拡散されます。

光学系は通常の映写状態とは逆方向に光が通過するようになっており、LED光源はフィルムゲートに取り付けられています。 フィルムを通過した光は、もともとランプハウスがあった場所に置かれたカメラで撮影されます。 カメラはフィルムのエマルジョン面から撮影することになります。

デジタルスチルカメラを映写機と同期させて1コマごと撮影するためのコントローラーは下の図のような回路になっています。 撮影はカメラのリモートレリーズ端子から制御しますが、スチルカメラは画像がメモリーに格納されるまでの時間が変動するため、実際にシャッターが切られたことのフィードバックをカメラの外部ストロボ端子から得て制御します。



こうして得られた連続画像は、PC上での処理によってエンコードします。

*1 35ミリ映写機は光源(ランプハウス)、台座(スタンド)、機構部(ミシン)で構成されています。フィルムを巻き取るリールは映写機本体に装備される場合と映写機とは別に設置される場合があります。
詳細はこちら

*2 フレームレート(1秒あたりの画像の枚数)がビデオは毎秒約30コマ、フィルムは毎秒24コマと異なるため、画像を1:1で対応させると再生速度が変わってしまいます。これを同じ画像を重複させる等の方法で調節する処理がフレームレート変換です。

*3 特殊なブラウン管に明るい輝点(スポット)を表示し、その点を左右・上下に動かしてフィルムをスキャンする方法。分解能を上げるとセンサーの受光量が減るが、この方式では光を受け取るセンサーに高感度なセンサーを使用できる。

*4 HDR(High Dynamic Range)合成を行うには同じ場面で露出の異なる複数の画像が必要です。この複数の画像をソフトウェアで疑似的に生成すれば簡単にHDR効果が得られますが、ノイズが増える欠点があります。

*5 真のHDR合成のための素材は、撮像素子に入る光を実際に変化させて露出の異なる複数の画像を撮影することで得られます。ただし画像のフレーミングやスケールに少しでも差異があると良いHDR合成ができません。

*6 色調整を可能にする光の三原色に対応した光源(R=red, G=green, B=blue)に加えて白色(W=white)の光源を一体化したもの

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