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プレッシャープレートとフィルムゲート

35ミリのうち幅にしてわずか24ミリしかないフィルムのひとコマは、レンズで拡大されて10メートルを超えるような大きさで劇場のスクリーンに投影されます。 フィルムのわずかなズレもスクリーン上では大きく拡大されますから、安定した映写のためにはフィルムの位置を非常に正確にコントロールする必要があります。 しかしフィルムを一定方向に移動させつつ、左右にも、厚み方向にもブレさせないというのは実際はかなり困難な課題です。 しかも35ミリ映写機ではフィルムが傷つくことを防ぐため、フィルムの画像部分に僅かでも何かが触れることは許されません。 この目的のため映写レンズの後ろにはプレッシャープレートとフィルムゲートと呼ばれる金具があり、これでフィルムを挟み込んで位置を決めます。 プレッシャープレートには左右(フィルムの幅方向)の位置を決めるガイドローラーが1~2個あり、フィルムが蛇行しないようにバネで側面を押さえています。 さらにフィルムの厚み方向(フィルムとレンズの距離)をキープするため2本のスチールリボンがピンと張ってあり、このリボンにフィルムを乗せた上から、橇(そり)のような形の金具がついたフィルムゲートで挟み込みます。 リボンと橇はパーフォレーションの部分にだけ当たるような幅と間隔になっていて、画面部分には何も触れません。 フィルムの移動はこの状態で、挟まれたままのフィルムを強引に引っ張って移動させます。



映写するためには光がフィルムを透過しなくてはならないので、プレッシャープレートとゲートにはフィルムのひとコマより少し大きめの穴があります。 ここには必要な部分だけ光を通すための部品(アパーチャープレート)が装着されており、スクリーンに映写される画面の枠を決定します。 アパーチャーは画面の比率に応じて適当なものが選択されますが、フィルム上の画面よりもわずかに小さくなっており、フィルムのつなぎ目などがスクリーンに投影されることを防ぎます。

シャッターと間欠駆動

映画のフィルムは、ただ単に一定の速度で光源とレンズの間を通過するわけではありません。
映写中の様子を肉眼で見ても速すぎてよくわかりませんが、実際の動作は次のようになっています。
① 光源とフィルムの間で、回転式シャッターが光を遮る(画面は暗くなり、スクリーンには何もうつらない)
② スプロケット*1が回転してフィルムをプルダウンする*2
③ コマがスクリーンの中央に来るとスプロケットが止まる
④ シャッターが通過してフィルムに光が当たる(画面は明るくなり、フィルムの1コマがスクリーンに映る)
⑤ シャッターはそのまま回転を続けて、再度光を遮る(画面は暗くなる。フィルムは静止したまま)
⑥ シャッターが通過して、再度フィルムに光が当たる(画面は明るくなり、さきほどと同じコマが映る)
⑦ ステップ①に戻る



一連の動作は1/24秒で完了しますが、このようにフィルムが移動と停止をくりかえすのが「カタカタカタ…」という映写機の動作音の正体です。 ポイントは、シャッターが開いて光が当たる瞬間にはフィルムが静止しているので観客の目にうつるのは静止した映像であること、フィルムが移動している時には常にシャッターが閉じて光が遮られているので観客にはフィルムが移動する様子は見えないという点です。 ところで1コマあたりの時間が1/24秒(=2/48秒)であれば、1/48秒のあいだ光を当てて映写し、1/48秒光を遮ってフィルムを移動させても良いような気がしますね? しかし実際の動作ではフィルムの1コマについて2回、光が当たってスクリーンに投影され、2回、光が遮られて暗闇になるという少し複雑な動きになっています。 このようにするのは、もし1/48秒ごとに光の明暗がくりかえされるとチラつきを強く感じて非常に見苦しくなるためです。 同じコマを等しい時間間隔で2回に分けて映写することで、光が当たる時間も遮る時間も共に1/96秒という非常に短い時間になり、明るさのちらつきを感じにくくなります。*3




*1 フィルムのパーフォレーションにひっかかる歯車がついた円筒形のローラー(上の写真で青い矢印の所)
*2 ゲート上方から供給されたフィルムをひとコマ分だけ下方向に引っぱる(プルダウン)
耐久性が重要な35ミリ映写機ではインターミッテント(間欠)スプロケットによる駆動が良く使われますが、
多くの8ミリ、16ミリ映写機ではパーフォレーションに「爪」をひっかけて引きずりおろす「掻き落とし式」
と呼ばれる方式が使われています。
35ミリ映画を撮影するカメラや一部の35ミリ映写機では、掻き落とし式の駆動と位置決めのための固定ピン
(レジストレーションピン)を併用してさらに高精度にフィルムを固定します。
*3 通常8ミリ映画では毎秒16コマまたは18コマと低速であるため、フィルムの1コマについて3回シャッターが通過することでちらつきを軽減しています。
最近の映写機にはシャッターやスプロケットの間欠動作をすべて電子制御で行うものもありますが、機械式の場合には「ジェネバ機構」と呼ばれるしくみが使われます。ジェネバ機構の動作をよく見ると、連続的な回転をするシャッターと回転・静止をくりかえすスプロケット(インターミッテント・スプロケット)の動きがシンプルな仕掛けで実現できることがわかります。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%8D%E3%83%90%E6%A9%9F%E6%A7%8B



前出のイタリアの老舗映写機メーカー、シネメカニカ社(CINEMECCANICA)のマークも、このジェネバ機構がモチーフになっています。

https://it.wikipedia.org/wiki/Cinemeccanica

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