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35ミリテレシネ機の開発状況

今では誰もが手軽に動画を撮影できるようになりましたが、動く映像を記録する手段としてはこれまで長らくフィルムを使った映画の時代が続いてきました。映画は主に使用するフィルムの幅によって用途や機材が異なります。古いものには特殊な幅のフィルムもありますが、家庭用には8ミリ幅のフィルムが使われました。映写するときはリールに巻いた形ですが、カメラへの装填はカセット式で容易に扱うことができ、1960年代にはテレビで8ミリカメラのCMが放送されるほど一般にも普及しました。 しかし1980年代の終わりにはホームビデオカメラの普及により一般家庭で8ミリ映画を撮影することはほとんど無くなりました。

学校など常設の映画館ではない場所で行われる小規模な上映や、テレビ放送用の素材としては16ミリ幅のフィルムが多用されました。

ビデオの時代になっても高速度撮影など特殊な業務用途で生き延びてきた16ミリも、現在はビデオカメラの性能の向上により次第に使われなくなりました。この時代にあっても商業映画の世界では劇場の大きなスクリーンでの上映に耐える画質はフィルムでしか得られず、劇場側にとっても設備投資の必要なデジタル化はハードルが高かったため、公開される映画はほとんどが35ミリで制作されたものでした。ごく最近になって日本の映画館では上映設備のデジタル化が急速に進み、観客も気が付かないうちに昔ながらのフィルムで上映する劇場は数少なくなっています。しかし世界的に見れば、今でも35ミリフィルムを使用した映画は最も普及した形式と言うことができます。

35ミリフィルムの歴史はこちら

開発中のテレシネ

こうして映画の歴史の初期から今日に至るまで、皆さんの記憶に残る思い出の映画も、有名な数多くの名画も、この方式で撮影され上映されてきたわけです。35ミリフィルムに記録された映画はいまや膨大な文化遺産とも言うべきものです。 当社では35ミリフィルムに記録された映像をデジタル化するテレシネ(Telecine)装置を自社で開発中です。



35ミリテレシネ装置の概要はこちら

35ミリ映写機のしくみ

家庭用の8ミリ映写機は片手で持ち上げられるサイズと重さですし、16ミリの映写機もすべてがコンパクトに一体化されています。 35ミリ映写機も原理的には8ミリや16ミリ映写機と変わりはありませんが、大型で重く、映写室内に設置して専門の技師が扱う装置であり、見た目の雰囲気もかなり趣が違っています。8ミリ映写機の重さは5~10キロ、16ミリで15~25キロ程度ですが、35ミリでは可搬型でも100キロ、据え置き型では数100キロにもなります。

映画の原理についてはご存じの方も多いと思いますので、ここでは普段あまりなじみのない35ミリ映写機について、何回かに分けてご説明をしましょう。

35ミリ映写機のしくみ
1.フィルムとリール
2.光源
3.レンズ
4.プレッシャープレートとフィルムゲート
5.シャッターと間欠駆動
6.音声の読み取り(制作中)
7.音声の再生(制作中)

シネメカニカ社様から引用

フィルムとリール

35ミリフィルムは通常の速度(秒24コマ)で映写したとき、1秒あたり1.5フィート(約45.7センチ)の長さになります。 120分の映画は長さにすると10,800フィート、おそよ3.3キロメートルの長さです。 上の写真では大きなフィルムのリールが映写機と一体になっていますが、このリールで6,000フィート、約1時間強のフィルムを巻取ることができます。 映画は90~120分程度の作品が多いので、このような場合は2台の映写機を使って映画の途中でチェンジオーバー(切替え)が必要になります。*1 全編をそのままリールに巻くと運搬などに不便なので、映画館に配給されるときのフィルムは2,000フィート以下に小分けしたリールが5~7巻程度のセットになっています。 上映するときにはつないで長くしたものを映写機にかけます。 予告編など特に短いフィルムはリールに巻かず、コアと呼ばれる芯に巻いただけの状態で扱われることもあります。

35ミリ映写機は、劇場の規模や上映形態に応じて光源やリール部分が独立して組み換え可能な設計になっているのも特徴のひとつと言えます。たとえば1台の映写機であっても、円盤の上にフィルムを巻き取るノンリワインド*2のプラッターシステムを組み合わせれば長時間の自動運転が可能になります。

*1 チェンジオーバー
2台の映写機を交互に使う上映方法。1台が上映中に別の映写機に続きのフィルムを装着して待機させておき、1台めのフィルムが終わる瞬間に映写機を切り替えて途切れることなく上映する。

*2 ノンリワインド
25,000フィートものフィルムを巻取ることのできる回転円盤を複数備えた装置で、巻いた状態のフィルムを中心部分から抜き取って送り出しつつ、別の円盤に巻き取ることができる装置。これによって上映後の「巻き戻し」の操作が不要になり、1台の映写機でも長時間の連続運転ができるようになった。

Christie社より引用

光源

osram社様より引用

映画は暗闇のなかで上映されますが、それでもスクリーンが大きくなればなるほど、強力な光源が必要になってきます。

映画館のスクリーンの大きさを正確に想像するのは難しいかもしれませんが、たとえばここに比較の対象として21インチサイズのスクリーンがあったとすると、さほど大きくはない250席クラスの劇場のスクリーンでも、21インチサイズのスクリーンの400倍の光の強さが必要になります。

*3
このような強い光を出すため、35ミリ映写機では通常の電球ではなく、放電を利用して効率よく強い光を出すクセノンショートアークランプが使われています。

このランプが出す光は非常に強く、もし点灯中に直接ランプを目で見てしまうと目に回復不能な障害を受けることになります。また耐用時間を超えて点灯させるとしばしば爆発するので、扱いの難しい光源でもあります。実際の劇場の映写機の光源に必要な電力は、2,000ワット~7,000ワット程度になります。

*3
縦27cm×横47cmの大きさのスクリーン(21インチサイズ)に対して、縦5.4m×横9.4mのスクリーンは面積にして400倍になります。

シネメカニカ社様から引用

映写レンズ

光源部に内蔵された楕円ミラーと集光レンズで集められた強力な光は、小さなフィルムのコマを通過して映写レンズに導かれます。 映写レンズはスクリーンの大きさと映写機からスクリーンまでの距離に応じて適切な焦点距離のものが選択されます。 35ミリ映画を上映する映画館には、FLATとSCOPEと呼ばれる2種類のフィルムのタイプに対応したレンズが備えられています。 FLATと呼ばれる形式(ワイドスクリーン)ではフィルム上のコマをそのまま拡大して映写しますが、SCOPE(シネマスコープ)はアナモルフィック・レンズ(anamorphic lens)と呼ばれる特殊なレンズで、画面を横方向だけ2倍のサイズに引き伸ばして映写します。 SCOPEのフィルムに写っている人物は映写したときちょうど良い画面になるように、ひどく痩せて写っていることになります。

35ミリ映画の映写用レンズはカメラ用のレンズとは違って末端の部分をねじ込む方式ではなく、望遠鏡のように円筒部分を金具でしっかりとささえる形で映写機に取り付けられます。 そのためメーカーによるマウントの違いといったものはありませんが、サイズは直径70.6mmのものとユーロサイズと呼ばれる直径62.5mmの2種類があります。 現在はシュナイダー・クロイツナッハ、イスコ・ゲッチンゲンといったドイツのレンズメーカーが多くを製造しています。

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